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生産者市場体験プログラム

ペルーの生産者を招いて —2005年11月

ペルーの生産者支援団体「ミンカ」の代表を務めるノルマ・ベラスケスさんと、アルパカ・ニット生産者のダニー・アパサ・クティパさんが来日したのは11月8日。

直前までビザが下りずヒヤヒヤし、外国人の入国を厳しく制限しているアメリカをトランジットできないため、イギリス経由で丸2日もかけての到着でした。2人は東京と大阪で行われたフェアトレード・セミナーで、ミンカの活動や先住民族の生活の様子を精力的に語ってくれました。ここでは11月12日(土)に自由が丘・メリックスホールで開催したセミナーとワークショップの模様を報告します。

ミンカは、ペルー全国の約55の手工芸生産者団体を支援する組識で、7,000~9,000の人々が仕事を得ています。「ミンカ」という言葉は、ケチュア語で「あなたが私の畑で働けば、私はあなたの畑で働く」という相互扶助の意味です。

創立者のノルマさんは、ボリビアとの国境に近い標高3,800メートルのフリアカの町で、比較的裕福な商家に生まれ、先住民族のケチュアの人々の貧しい暮らしを見て育ちました。厳しい気候のため主食のジャガイモも思うように採れない彼らの生活をなんとか向上させたいと、1979年にミンカを設立しました。

ケチュアの人々は、収入を得るため、伝統技術を使ってアルパカのニット製品を作っていましたが、流通手段もなく公用語のスペイン語もうまく話せないため、製品を自分たちで売りさばくことができず、村を訪れる仲買人に原料代も出ないほどの安値で買い叩かれるばかりでした。

そこでミンカは、一人で解決できないことをみんなで取り組み、自分たちの問題を自分たちで解決していくために生産者を組識化しました。そして製品の質を向上させて輸出による市場を開拓し、より高い代金を生産者が受け取れるような販売ルートを確立しました。

ミンカの活動は、フェアトレードによって収入の機会を提供するだけではなく、キヌアやカニワなどの伝統的な穀物の復活や、生産者の地域にどんな材料や技術があるかの調査とそれにも基づいた商品開発、教育など多岐に渡ります。全ての活動に住民自身が参加し意思決定できるような地域開発を行っています。

恥ずかしがりやのダニーさんですが、この日はスペイン語通訳の佐藤さんの丁寧なやりとりのおかげで、たくさん話してくれました。

「私の村では40の家族がミンカの活動に参加しています。今は、特に色付きのアルパカの毛が手に入りにくくなっているのが問題。私たちは、まず町の市場で原毛を手に入れ、選り分け、糸に紡いで編みます。すべて手作業です。縫い合せがなく、裏返しても着れるんですよ」と自分たちの製品をアピールした後、「貧しい生活から救ってくれたミンカの活動には感謝しています。品質向上についても多くを学んだし、研修のために初めて首都のリマに行くことができました。電話での話し方、銀行でのお金の下ろし方なども学び、恥ずかしがりやだった私たちも外の人と話ができるようになりました」と堂々と語ってくれました。

会場の参加者から、多くの質問が寄せられました。どのように生活が向上したか、という問いにはダニーさんが「私の母は学校へ行けなかったけれど私は中学まで行った。子どもにはもっと上の教育を受けさせたい。食べるものも着るものも世代ごとに良くなっている」と話してくれました。

一方、ノルマさんはフェアトレードの課題について、「買い手がなければ成り立たないこと。活動を始めた25年前には、仲買人を通さず海外に売るだけで生産者の収入が5~6倍になりましたが、’96からアクリル製品などとの安値競争が始まり、生産者に払える賃金も下がってきています。充分な収入を得るためには、もっと日本の皆さんからの注文が必要です」と説明しました。

また、ノルマさんがもうひとつ強調していたのは、「色つき」アルパカの絶滅問題です。アルパカには本来、グレイやブラウン、白、黒などの毛をもつ多様な種類がいます。しかし、繊維生産の機械化に伴い、企業が染色しやすい白い毛ばかり買うようになったため、商品価値のない色つきアルパカは肉として売られるようになりました。

その結果、色つきアルパカは、今や絶滅寸前まで追い込まれています。ミンカは、グレイやブラウンの毛色を活かした製品をデザインすることで、色つきアルパカの価値を高め、絶滅から救おうと努力しています。アルパカ1頭から1年にとれる毛の量は約1kg。ショールなら約5枚分です。ミンカは、「ショール5枚で1頭のアルパカを救おう」というキャンペーンを計画しています。

最後にノルマさんは、「フェアトレードが目指すものは、賃金を上げることだけではなく、継続的な発注や前払いなど、生産者の側に立った取引、そして彼らが抱えている社会的な問題を、共に考え解決していく姿勢が大切」と、貧しい人たちの生活向上のためのフェアトレードなのだということを改めて確認させてくれました。

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編み物をするペルーの生産者

女性たちはどこでも編み物をする

ノルマさん

ペルーで生産者を支援するノルマさん

セミナー風景

写真を見せながら説明するノルマさん

セミナー風景

初めてマイクを使い大勢の人にスピーチをして緊張していたダニーさん

ワークショップ風景

糸を紡いでレイを作るワークショップで丁寧に指導してくれました。右は通訳の佐藤さん。

ワークショップ風景

ダニーさんがやると簡単そうなのになぁ・・・