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世界の貿易のルールを決める国際機関のWTO(世界貿易機関)では、
貿易のさらなる自由化に向けてさまざまな分野で議論が進められています。
しかし、貧富の格差や環境破壊は広がる一方で、
貿易の自由化が貧困の解決には役立っていないことが明らかです。
今の貿易のしくみの何が問題なのでしょうか?


貿易の自由化によって利益を拡大しているのはごく一握りの大企業です。現在、世界の貿易量の66%は世界に拠点を置く多国籍企業同士の取引であり、最も貧しい国々の輸出量は世界貿易の1%にしか過ぎません。 途上国の小規模農民や手工芸生産者などは、世界貿易のカヤの外に置かれています。貧しい人々が事業の知識や資金を得られるしくみをつくらなければ、いつまでも貧しさから脱却することはできません。
先進国と途上国の間に技術力や情報量に圧倒的な差があるままで貿易を無制限に自由化すれば、途上国の産業は大きな打撃を受けてしまいます。自由な貿易を実現するには、まず途上国の人々が力をつけ、対等な競争ができるように支援することが優先されなければなりません。 欧米諸国は自国の農業を守るために多額の補助金を出しており、農産物が安価で輸出されています。しかし一方、途上国に競争力がある繊維製品などには輸入に高いハードルを設けるなど、不公正なしくみを維持しています。
先進国が開発した技術や商品が、環境や人々の健康への影響がきちんと検証されないまま途上国にどんどん輸出されています。環境保護や健康への懸念を理由に輸入を阻止することは、自由貿易を阻む行為としてWTOのルール違反とされてしまいます。 途上国には、貿易の自由化が自国にどんな影響を与えるかを見極めるノウハウや人材が不足しています。性急な貿易の自由化は、取り返しのつかない環境破壊や健康被害をもたらす危険性があります。
途上国に設けられた「自由貿易区」では、国際法で定められている賃金や労働者の権利がほとんど守られておらず、環境保全のための規制もありません。企業の国際的な移動の自由だけが確保され、労働者や市民の移動の自由は制限されたままです。 WTOでは投資などの新しいルールについて話し合いを始める提案が出されています。しかし、今は新しい議題について話し合いを始めるよりも、これまでに決められたルールがどのように環境や社会に影響を与えてきたかをきちんと検証することが必要です。

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